失敗の本質―日本軍の組織論的研究

mitchell_desu2006-06-04


日本の管理職って、世界で何位?

■マネジメント虚弱体質

 スイスIMDの調査によると、調査対象30ヵ国の中で日本の研究開発支出のGDPに占める割合は1位、特許数も1位であるなど科学インフラ分野の水準は30ヵ国中2位と強さが鮮明に。しかし一方で、企業家精神の普及度は30位、マーケティングは23位などマネジメント分野の水準は20位。
・・・「科学インフラ分野の水準は高く、マネジメント分野の水準は極めて低い」という姿が浮き彫りに。

■この体質は、歴史的必然なのか?

 昭和14年、18,000人もの兵士を失ったノモンハン事件
 日本軍を圧倒したソ連軍司令官ジューコフスターリンの問いに対して、「日本軍の下士官兵は頑強で勇敢であり、青年将校は狂信的な頑強さで戦うが、高級将校は無能である」と評価した。
 はたして我々は歴史から学んでいるか?
例え反面教師とは言え、なんらかの教訓は導き出されたのか?
18,000人の命を無駄にしないためにも、我々にできることは無いのか?
 戦時中の軍隊組織にも現代の企業にも通じる「現場↑、管理職↓」という図式。これが仮に日本人の特性によるものであれば、なおさらこの図式を意識してそこに陥らないために具体的な策が必要となる。
・・・では、どんなものが考えられるだろうか?

■優秀な現場と虚弱な管理層

 「現場↑、管理職↓」
前者(現場↑)は信じる力やリーダーシップに負うところが大きい。一方で、より高度な意思決定が求められるトップ・マネジメントは、「分析⇒課題絞込み⇒対策立案」の【現場】であることが求められる。分析ツールのオプションを豊富に持っていて、どんな結果が出たらどんな策が有効かといった選択肢もバラエティ豊かであることが求められる。

 選択肢は経験に依存するが、ツールは学ぶことで増やせる。経験は意図的に増やせないが、学ぶことは意図的に増やせる・・・答えはここにあるんじゃないだろうか?

■増やせることを組織的に実行!

 大東亜戦争時、日米両軍を分ける大きな組織的特徴として、米軍は理論を尊重し、学習を重視したという点が挙げられる。米第三艦隊参謀長ロバート・B・カーニー少将はレイテ島攻略を前にして次のように語った。
「どんな計画にも理論がなければならない。理論と思想にもとづかないプランや作戦は、女性のヒステリー声と同じく、多少の空気の振動以外には、具体的な効果を与えることはできない」。
 ヒステリー声をあげるマネジメント層・・・。確かに生産性の上がりようが無い。「理論なんかどうでも良い」とか「お前は本ばかり読んでるからダメなんだ」とヒステリックに叫ぶトップ・マネジメントがいたら、恐らく彼の正体は、生産性を著しく下げるマイナス因子です。

■そのときアナタはどうする?

 歳を取った自分が「現場↑、管理職↓」に陥らないために、日々の準備は万端か? ヒステリー声をあげる老人に陥らないための努力を続けているか?

 ☆ ☆ ☆

「失敗の本質」
タイトル的に「自虐史観」と思われがちですが、組織論等の大家たちがあくまで組織としての問題点あぶりだしに挑戦した1982年の一冊。もともとは、防衛大学の研究者たちが手弁当ではじめた研究。その中のひとりがご存知、野中 郁次郎*1

へ〜、野中 郁次郎ってば防衛大学だったのね。すごいな防衛大学。コッチの研究もやってみたいな という気にさせる一冊です。

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失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)

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*1:野中 郁次郎:後のナレッジマネジメント世界的大家であった。