とんでもない価値誕生について時系列でまとめてみた。

mitchell_desu2007-08-31


この出来事をはじめて知る方向けに、8/2〜8/29にわたって時系列でまとめてみました。

■8/2 「分裂勘違い君劇場」fromdusktildawn氏、ブログを通じて人材を公募する

ブログ2.0?でベンチャー起業につき創業メンバー募集:Ajax+Rails

http://d.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/20070802/1186055200

記事1本あたり、3万7千PVをほこるアルファブロガーが、自身のブログを通じてリアルな人材募集を行った。
この公募で特徴的なのが、「匿名」ブログでのリアルな公募であること。また、

重要なのは待遇でも報酬でもなく、得られる経験とスキルだと思います。
最高に刺激的で面白い、アドレナリンとエンドルフィンのでまくり時間を過ごせる、ということです。

と、非金銭的なインセンティブを強調したマーケティングであったこと。

さらに特筆すべきは、

実は、他の大企業が出している採用募集広告も目くそ鼻くそで、
まあ、裏事情はめちゃくちゃ後ろ向きのものを、とてもポジティブに
書いているだけです。

とネタバレまでしてること。

「どんな結末になるやら」と、”はてな”のエロい住人たちがROMを決め込む。*1

■8/22 「分裂勘違い君劇場」fromdusktildawn氏、結果を公表する

アフィリエイトで稼ぐより何十倍も意味のあるブログの使い方
http://d.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/20070822/1187746605

合計37名の方にご応募いただいた。

単に学歴だけとっても、
東大の○○物理学の博士課程が一人。
東大の物理□□学の博士課程が一人。
京都大学情報工学が一人。
含まれていたということだ。

・・・オレがプログラムやってても学歴で足きりだったのね(><

もちろん、学歴もキャリアも実力もないけど、
やる気は十分で、積極性と柔軟性と向上心がある若者たちから、
最初は年収300万でいいから、月給20万でいいから、
とりあえず仲間に入れてくれ、というメールもいただいた。

コストリーダーシップでも勝てない罠・・・。

今回、最終的に話が決まることになった方は、
NDA(守秘義務契約書)にサインした上で、
今回紹介させていただいたベンチャーのコアメンバー
面会することになった。

今回の実験は成功裏に終わる。そして、こう総括。

要するに、何が言いたいのかというと、
まったく手前味噌で申し訳ないのだが、今回の募集記事は、
応募者と募集者の双方に大きな価値をもたらした可能性が高い
ということだ。


いや、単にそれに留まらない。
このような、ある種ゲリラ的な手法で、
有能でパワフルな若者を、
新しい産業を創出する場所へと導く流れをつくることが
できれば、日本社会の未来そのものを形作る萌芽と
なり得ないだろうか。


つまり、このささやかな成功を見た他の何百、何千という
ブロガーたちが、新しいビジネスを創造するとき、
今回私がやったのと同じような手法で、
自分のブログを使って強力な人材を得ることを、
当たり前のようにするようになれば、
日本社会に眠っていた価値創造能力が解放される
のではないだろうか。

ダイナミックだ!リアルだ!バリューだ!
なんともとんでもない可能性を示唆する今回の出来事だったワケだ。

■8/29 「小野和俊のブログ」小野 和俊氏、この一連の出来事を整理する

ブログでとんでもない価値を生み出せるのは、分裂勘違い君だけじゃない*2
http://blog.livedoor.jp/lalha/archives/50180780.html

一月ほど前に、分裂勘違い君劇場でとても興味深い試みが行われました。

それは、匿名のブログを通じてリアルな採用活動を行うという試みです。

と紹介し、「電車男」風に評価。

私たちは、ブログの信頼のパワーが発揮された瞬間と、
新しい種類の信頼が生み出される瞬間とを、リアルタイムに目撃したわけです。

で、「信頼」をキーワードに社会学的な意義へと議論を展開する。

これまで、多くの場面において、信頼は個人ではなく、
その個人が所属してきた組織に属するものでした。

が、今回の出来事が象徴するように

ネットの世界が、肩書きや経歴を超えた、
より直接的な個人と個人の信頼の醸成を、大きく加速していっているように感じます。

とまとめてますが、このロジック展開については梅田望夫さんの「ウェブ進化論」でご承知の方も多いかと。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

むしろ注目すべきは注釈部。

1 分裂勘違い君劇場では、240万円 + αの価値を生み出したことが述べられていますが、優秀で若く、チャレンジングな職場があればぜひ働いて見たいという40人近いエンジニアと接点がつくれれば、このコネクションをベースにエッジなエンジニアに特化した人材紹介会社を立ち上げることも可能でしょうし、そのネットワークを評価して資本参加やM&Aのオファーも来るでしょう。その時の価値は240万円どころではありません。どんなに少なく見積もっても、一ケタ違う金額になるはずです。


2 IBMGlobal Innovation Outlook 2.0(サイズが大きいため、ブラウザで直接開くとブラウザが不安定になることがあります。ダウンロードして開くことをお勧めします) で述べられている「Reputation Capital (評判という資本)」は、このような傾向についての一つのヒントになる考え方です。ネットオークションでの評価の蓄積のようなものから、ブログにおける意見の表明や技術解説など、組織をまったく経由しない形での個人の信頼醸成を私たちは日々目にしています。

注1で価値を定量化し、注2で大きな視点から価値を位置づけた。

■8/29 「分裂勘違い君劇場」fromdusktildawn氏、小野 和俊氏のエントリに対してコメント

分裂勘違い君劇場管理人のブクマ
http://b.hatena.ne.jp/fromdusktildawn/?of=20

具体的メリットを重視する経営者の視点とトフラー的な社会的ビジョナリー視点の両方を兼ね備えている点がこの人の良さ。
前者が欠ければ机上の空論。後者が欠ければただの世渡り術。

「このできごとは、経営者の視点か社会的ビジョナリー視点か、もしくは両方かで論じろよ」という挑戦状かと。

オレ的には論じきれないんで、この価値について、そして今後の可能性について、エロい人たちに是非とも挑戦してもらいたいところです。個人的には「福耳コラム」の三宅 秀道さんに「中小企業およびベンチャーが優秀な人材を確保する手法としての新たな可能性」という切り口で、アカデミックにかつリアルに論じて頂きたいところです。だってぶっちゃけ「インターンシップで人材確保」なんてウソじゃないですか。やっぱ欲しいじゃないですか強烈な方法が。
このできごとが、これからどうリアルに波及してくのか。めっちゃ楽しみなミッチェルでした(´∀`)ノ

*1:ミッチェル的に優秀と思われる数名にメールで知らせる。「オレもプログラムやってりゃよかった」と後悔する。

*2:fromdusktildawnさんって読みづらいので仲間内では「分裂勘違い君」と呼んでるんですが、小野さんも同様では?と思わせるタイトルw