クレドについて検討してみた
クレドとは、ラテン語で「志」「信条」「約束」を意味する言葉。昨今のマネジメントにおいては「企業理念」を表わす言葉として定着しており、ザ・リッツカールトン・ホテルなどクレドを上手に経営に活用し、業績を向上させる企業が増えています。ここでは一例として、研究会自身のクレドを取り上げ、策定に至る思考プロセスを紹介してみます。
まいど!ミッチェルです(´∀`)ノ
現在、ザ・リッツカールトン・ホテルなどで有名なクレドについて作成してます。研究会で使用した資料を使って、「どんな風に考え、どう作るのか」をご紹介しますよ。
■これまでの経緯
1.クレドに関する説明
2.ブレストで個々の案を抽出
3.案を整理するためフレームを作成
4.計72ケの案をフレームに落とし込む
■3.使用フレームの妥当性
そもそも前回作成したフレームを前提に話をすすめていいのか?一度、冷静に振り返ってみた。
まず前回作成したフレームを「クレド・マトリクス」と名づけました。
「誰に対しての約束か×何をすることの約束か?」の2軸。
比較としてアンゾフ・マトリクスを並べてみた。
こちらは「市場の軸×製品・サービスの軸」の2軸。
「誰に×何をする」軸≒「市場×製品」軸。
いずれもアイデンティティーを表現するフレーム。
だからクレド策定で使用するのに妥当なフレーム。
「アンゾフ・マトリクスは、アイデンティティーを表現するフレーム」という考え方について議論が止まる恐れがあったので、一応ということで補足説明。
戦略策定フローの全体像から、アンゾフ・マトリクスの位置づけを示し、そのフレームの一般的な使用目的を整理してみた。
- まとめ
クレドとは、「自分たちが何者であるか」についての約束事。
ゆえにアイデンティティーを表現するフレームを使用するのが妥当。
アンゾフ・マトリクスは、アイデンティティーを示す代表的なフレームであり、
これをカスタマイズした「クレド・マトリクス」はクレド用フレームとして妥当。
■4.フレームからのアプローチ
「妥当だね」とオーソライズされたクレド・マトリクス。このフレームを深堀して、クレドのフォーマットへいかに落とし込むかを考えてみた。
クレドのヒエラルキーは、大きく「グランド・クレド」と「アクション・クレド」の2分類。
一方で、ブレスト案を分析すると、[why][what][how]3つのレベル感に分類するのが妥当かと思われた。
[why][what][how]3レイヤーに分類。
「why=グランド・クレド」、「what=アクション・クレド」。
[how]は低レイヤーのためクレドに盛り込まない。
アクション⇒グランドの順で確定させる(これは進め方についての私見です)
さらに検討をすすめ、クレド・マトリクスの中身を細分化してみた。
タテ軸のターゲットが4分類。ヨコ軸の製品が2分類。よって4×2=8象限のマトリクスに分類。
これら8象限について、それぞれ妥当と思われるアクション・クレドを当ててみた。
ブレスト案から構築するアプローチでなく、まずフレームありきで落とし込んだフレーム原理主義的なアプローチ。
というわけで、ここまでで
- アクション・クレドは8項目で決定
- 全体のレベル感やレイヤーも整理できた
そこで、グランド・クレドをどのように導き出すかについて考察をすすめたいと思いますよ。
これまでの流れを単純な表に落とし込むと、グランド・クレドは全体の整合性をつかさどる虫ピンのような、かすがいのような役割だろうと考えられます。
なので全体がバラバラにならないように、左右の両面からアプローチしたいと思います。
ここでは「価値前提、事実前提の2つの視点から[why]を導き出す」と説明してみましたよ。
するとどうでしょう?「作るを重視」し、「各種の施策を通じて、実践力UP」という方向性が導き出されましたね(吹き出し)。この両者は、行動面に関するキーワードとして一本化されますね。
そこで、「実践こそを重視し、行動する集団であることをモットーとするべき」という方向性を打ち出しました。
(正直、このあたりの展開はやや乱暴な感は否めないですね。ま、たたき台ということで自分の意見も出してみたよ。)
- まとめ
「作る」行動があってこそ、「伝える」思考が生まれる。
「作る」を増やすことで、【理論>実践】のアンバランスをバランスさせる。
まず実践こそを重視し、行動する集団であることをモットーとする。
小さなハードルを持ちより、数多くスピードをもって「作る」。
「Creation is first! Communication is second!」
実践重視、行動主義。行動の足跡こそが、セオリーになる!
(英検4級だから言える英語もある orz)
■5.ブレスト案からのアプローチ
ややフレーム面での議論に偏ったので、ブレストで洗い出された合計72案について考えたい。
ただし、私はこの72案を整理統合してクレドを作成するという手法をあきらめました。理由は、「72ケもあって手間」だからです(笑)。
いや、具体的な72案を読み込んでいくと、各人のニーズの違い等あって集約は困難と思えたのです。
また、これらを無理くり最大公約数でまとめたところで、それは何らエッジの効かない、誰にとっても嬉しくない理念に陥るリスクを懸念したのです。
というワケで、ブレスト案の分析は、「モレ・ダブリの回避」や「施策のヒントさがし」を目的としました。
では、前回9象限に落とし込んだ72項目について、そのバラつき加減を見て行きます。
ここで注目すべきは、一番左の一番上「顧客×伝える」の象限に分類されるアイデアがゼロだったこと!これは即ち、顧客に対する営業的なコミュニケーション戦略のアイデア皆無を意味するため、重要性の高い問題であることが分かります。そこで、メンバーの中で営業面に強みを持つ”いおりん”を中心に対策を検討することを提案しました。*1
また、9象限を単純化して4象限に仕訳したのが次の絵です。
ここで注目すべきは「伝えるvs作る」の差です。アイデアがコミュニケーションに関するものに集中し、「どのように価値を創るか」に関するアイデアが相対的に少ないことが伺えます。
ではここでも得意な人を中心に検討・・・と言いたいとこですが、現段階では、このチームでのコンサル活動は行われていないため、補充するのはあまり意味が無いかと。むしろ、今後の実践を通じて、「価値を創る」に関する約束事が自然に補充されるものと期待されます。
よって、ここでの結論は、「現段階で理論をこねくり回すよりも、実践を通じて変容する成長型のクレドを目指す」としましたです。
- まとめ
営業面でのポリシーが皆無であった。そこで
の方法で、コミュニケーション戦略の強化をはかる。
ただし、理論偏重に陥らず、実践を通じた、成長型クレドを目指す。
コミュニケーション戦略の強化が課題。実践を通じた、成長型クレドを目指す。
■6.全体のまとめ
というわけで、現状の整理と、新たな思考法の提案を終えて、skype会議で議論をすすめたワケでした。その内容については、また書くかも(確率10%未満)。
「ほう・れん・そう」も大事な中小企業診断士のお勉強ですな。ミッチェルでした(´∀`)ノ
*1:ストレングスファインダーで事前に互いの強みを共有していた。